本校の高校2年次(Grade 11)の生徒、ミドリさんが共著者として参加した研究論文が、日本弱視斜視学会の今年のNational Society Young Scientist Support Programme Awardを受賞しました。ミドリさんは、日本の医療系スタートアップ株式会社OUIの医師と共同で執筆した論文「Investigation of a new strabismus detection method using deep learning gaze estimation technology」の第二著者です。

生活に深刻な影響を及ぼす病気に、科学的な解決策を
ミドリさん自身、強度の近視と乱視を抱えています。そのため、将来、緑内障などの深刻な目の病気を発症するリスクが高くなっています。ミドリさんは幼い頃から「それを防ぐことはできないだろうか」と考えてきました。目の病気の発症を防ぐアイデアを数多く持ち、自分の予測が人の役に立つかどうかを確かめたいと思っていたのです。そこからミドリさんは、時間をかけてアイデアを絞り込み、実用的な解決策をつくることに取り組み始めました。
UWC ISAKの高校1年次(Grade 10)の「リーダーシップ・プログラム」では、深刻な目の病気の発症を防ぐ方法について4か月間研究を重ね、斜視の検出と深層学習を組み合わせた解決策にたどり着きました。ミドリさんは、GitHubで公開されていたコードを見つけました。そのコードは、コンピューターで生成した画像で学習させた深層学習のモデルでも、斜視を検出できるほどの精度で視線の方向を予測できることを示していました。実際の画像がなくてもよいということであり、これは大きな発見でした。深層学習とは、人間の脳と同じようにデータを処理する人工知能(AI)の手法の一つで、画像などに含まれる複雑なパターンを認識して予測を行います。


変化を起こす実践
コードの作成者は、ミドリさんが研究にそのコードを使うことを許可してくれました。ミドリさんは、「世界の失明を50%減らす」をミッションに掲げる株式会社OUIと協力し、視線推定によって斜視を判別する製品の開発に取り組みました。高校1年次の春のプロジェクト・ウィークでOUIのチームに製品を発表し、その後、チームがコードの改良や製品のプログラミングを支援してくれました。データ収集には、UWC ISAKの友人たちに協力を依頼しました。こうしたOUIの医師との共同作業が実を結び、冒頭で紹介した研究論文が完成しました。
しかし、これはまだ第一歩にすぎません。「今後は、より大規模なデータを集め、プログラミングのスキルがない人でも使いやすい製品にする必要があります」とミドリさんは話します。

変化を求めて
この目の健康に関するプロジェクトは、ミドリさんがUWC ISAKで関わっている多くのプロジェクトの一つにすぎません。ミドリさんは、仲間のサヤカさんと共に、日本の学校に通う外国人の子どもたちの教育を支援するProject TOMOを立ち上げました。環境問題の解決にも関心を持ち、2022年8月からは株式会社ユーグレナのChief Future Officerを務めています。この役職では、同社のFuture Summitメンバーと協力し、会社がより持続可能になるための方法を提言しています。特に、同社のSustainability Committeeの委員長として、経営レベルの議論に積極的かつ建設的に意見を述べてきました。来学期には、UWC ISAKのSustainable School Initiative (SSI) Clubに参加したいと考えています。

ミドリさんは、自身の課題解決へのアプローチを短い言葉でこう表しています。「仕組みを見て、変化を起こすことが好きなんです」。本校は、ミドリさんがその力と情熱を活かし、今そして未来の世界が直面する課題の解決に重要な役割を果たしてくれると確信しています。
