UWC ISAK Japan
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平和のムーブメントをつくる:Miki Kawamuraさん(2025年卒業)に聞く

UWC ISAK Japanの寮から世界の舞台へ。Mikiさんは、世界平和の実現というひとつの使命を軸に歩んできました。90カ国から集まった生徒たちが日々互いの違いと向き合うUWC ISAKの多様なコミュニティで、彼女は「平和を目標にすれば、対立はその平和へと向かう道になる」ことを学びました。現在はYouth Peace Ambassadorsを通じて、平和は語るだけのものではなく、日々の生き方で体現するものだというメッセージを、数百万人に届けています。

この記事の内容

Miki Kawamuraさんは、2025年にUWC ISAKを卒業しました。その後、Youth Peace Ambassadorsのファウンダー兼ディレクターとなり、国際フォーラムにも登壇しながら、平和という共通のビジョンのもとに若者をつなぐ世界的なムーブメントをつくっています。


UWC ISAKでの原点:対立が変化のきっかけになったとき

UWC ISAKで、平和についての私の考え方を形づくった最も大きな経験のひとつは、90カ国以上から集まった生徒たちと寮で一緒に暮らしたことです。

あるとき、政治的な背景がまったく異なる二人の生徒が衝突しました。怒りと苛立ちに満ちた対立を目の当たりにして、私は心から悲しくなりました。UWC ISAKのビジョンは「ポジティブな変化を生み出すきっかけをつくる人になること」です。それでも、これほど革新的で多様な環境でさえ、意見の衝突や緊張は生まれます。どれほど善意があっても、私たちは互いを傷つけてしまうことがあるのだと気づかされました。

でも、そのあと思いがけないことが起きました。

国際平和デーに、私は生徒たちが平和をテーマにしたプロジェクトに取り組むイベントを企画しました。生徒たちはそれぞれの言語で「平和」という言葉を書き、UWC ISAKのAsama Loungeの前で、みんなで一緒に作品をつくり上げました。美術室はポジティブなエネルギーにあふれ、生徒たちは絵を描きながら、うっかり自分まで絵の具だらけになっていました。その楽しく色とりどりの雰囲気の中で、平和を願うみんなの気持ちがひとつになるのを感じました。

イベントのあと、対立していたあの二人の生徒が並んで座り、私たちの作品を静かに一緒に眺めている姿を見かけました。

その瞬間、違いが私たちを分かつことはあっても、平和を願う共通の思いには、その違いを越えて私たちを結びつける力があるのだと気づきました。あの瞬間に、深く心を動かされました。


平和とは:戦争がないことだけではない

平和について話すとき、私は外の平和と内なる平和の両方を考えます。外の平和とは、戦争も暴力も危害もない、物理的に安全な世界のことです。しかし、内なる平和も同じくらい欠かせません。私たちが目にする世界は、自分の内面を映し出したものだと私は考えています。競争心や憎しみ、不安でいっぱいの人には、世界がそのように見えます。けれども、心が愛と感謝で満たされていれば、世界は穏やかで調和のとれたものに見えるのです。

日本では、戦争がないというだけで、自分たちは平和な社会に暮らしていると考えがちです。しかし、若い世代の死因の第1位は自殺です。これを本当の平和と呼ぶことはできません。私には、内なる平和が大きく欠けていることの表れに思えます。

平和な世界は、一人ひとりの内側から始まります。私が思い描く平和な世界とは、一人ひとりが心の奥底から本当に平和を願っている世界です。平和が共通の目標になれば、話し方も、人への接し方も、姿勢や態度も、そして対立さえも、すべてが平和に向かって動き出すからです。意見の違いや口論が起きても、それは行き着く先ではありません。行き着く先は平和です。

そして、平和が行き着く先であるとき、相手を理解しようとする気持ちが自然と生まれます。この向かう方向、こうしたあり方こそが、本当の意味で平和を築くのだと私は信じています。

スピーチでは、よくこう話します。「平和について語るだけの人ではなく、平和を生きる人でありたい」。平和を語る人はたくさんいても、それを体現している人はほんのわずかです。私にとって平和を生きるとは、「平和な世界があったら、そこに暮らす人はきっとこんなふうだろう」と周りの人に思ってもらえるような人になることです。

平和のための取り組みの多くは、すでに平和に関心のある人を引きつけます。でも私は、まだ平和について考えたことのない人にこそ届けたいのです。そっと関心を持つきっかけを差し出し、迎え入れたいと思っています。だからこそ、平和教育への入り口をさまざまな形でつくっています。


UWC ISAKから世界の舞台へ

人は違いがあってもひとつになれるということを、UWC ISAKで学びました。寮では90カ国の生徒が共に暮らし、経済状況も、政治的な立場も、信仰も、文化も、一人ひとりが異なっていました。そして当然、ときには対立も起きました。

けれどもUWC ISAKは、もっと深いことも教えてくれました。対立が目標になってしまえば、理解の入り込む余地はありません。関係はただ壊れていくだけです。しかし、平和を目標にすれば、対立はその平和へと向かう道になります。自分自身について、他者について、そして調和をつくる方法について学ぶ機会になるのです。

この考え方の転換を、私は今も毎日胸に刻んでいます。これほど多様なコミュニティで暮らしたことで、平和とは意見の対立がない状態ではないと知りました。むしろ平和とは、共感と理解、そして調和へ向かおうとする共通の意志がある状態です。意見が食い違ったときでも、全員が平和を願っているというシンプルな事実が立ち返る場所になり、私たちの心をもう一度ひとつにしてくれました。

UWC ISAKで得たこの学びは、その後に手がけたすべてのプロジェクト、関わってきたすべてのコミュニティの土台になっています。平和は、日々の選択や態度、そして他者のためにつくる場を通じて築いていくものだと教えてくれたのです。


形にする:Youth Peace Ambassadors

現在私が率いているプロジェクトは、Youth Peace Ambassadorsです。この取り組みには、二つの柱があります。

  • Peace Voice:若者たちに「あなたにとって平和とは?」と問いかけ、そのメッセージを動画で集める世界規模のプロジェクト。
  • Peace Journey:2月に始まる4カ月間のオンライン平和教育プログラム。現在応募を受け付けており、最後はPeace Pitchで締めくくります。

One Young Worldでは、参加者にインタビューをして同じ問い「あなたにとって平和とは?」を投げかけ、Peace Voiceの取り組みを広げました。このインタビューを動画にまとめたことで、私たちのプログラムへの参加に関心を寄せてくれた世界各地の若者コミュニティとのつながりが生まれました。

Peace Voiceプロジェクトでは、2025年大阪・関西万博の会場で最大となる、収容人数16,000人のMATSURI Arenaで動画を上映しました。スケジュールは非常に厳しいものでした。6月にプロジェクトを立ち上げ、世界中から動画を集める期間はわずか2週間。それでも、14日間で70カ国から1,200本の動画メッセージが届きました。

さらに、Youth Peace Ambassadorsは朝日新聞で紹介され、3,569,000人の読者に届きました。Peace Voiceの動画はUnite 4 Peace TVで放送され、世界の7,200万人の視聴者に届きました。こうした数字は、若者の声も発信の場さえあれば、世界規模で確かに響くことを示しています。

同時に、One Young WorldやPeace Pals、パートナーNGO、活動を通じて出会ったさまざまな若者コミュニティなど、世界各地のプラットフォームにある若者ネットワークをつなげる取り組みも進めています。目指しているのは、ばらばらに存在するこれらのネットワークをひとつにし、若者が国境を越えて共に行動できるようにすることです。つまり、一人ひとりの若者の声を、平和のための世界的なムーブメントへと結集させようとしているのです。

正直に言うと、私はこれらのプロジェクトを「困難」だとは感じていませんでした。平和のための活動は私の情熱そのものなので、どんな苦労も、成長し、何かを生み出し、人とつながる機会のように思えたのです。むしろ、自分の仕事と情熱が重なっていれば、困難は前に進む原動力になり、足を引っ張るどころか背中を押してくれるのだと学びました。


Yumi’s Universe:物語を通じた平和教育

二つ目の大きなプロジェクトは、日本の茶道の知恵から着想を得た平和教育プロジェクト、Yumi’s Universeです。光栄なことに、アニメーション「Yumi’s Universe」では声優を務めました!アニメーションや音楽、物語、世界各地のクラブ活動を通じて、Yumiと動物の仲間たちは魔法の丸い船に乗って世界を旅し、子どもたちに思いやり、多様性、マインドフルネス、そして団結について伝えます。

プロジェクトはまだ始まったばかりですが、すでに大きな評価を得ています。国際映画賞を6つ受賞し、2025年にはInternational Impact Book Awardも受賞しました。子どもたちが想像力や物語、心のつながりを通して、自然に平和と出会えるプロジェクトです。


これから:平和に捧げる人生

ひとつだけ、すでにはっきりしていることがあります。私は、一生をかけて平和のために働きたい。そこはもう決めています。

一方で、私は今この瞬間を思い切り生きる人間です。自分にしっくりくることに従い、世界から求められていることに応え、与えられた役割や機会に向き合いながら前に進み続けています。そうするうちに、ワークショップや講演、国際的な協働、そして数年前には想像もしなかった平和プロジェクトへと、活動の輪が自然と大きく広がってきました。

来年、Minerva Universityで学び始めます。将来どんな仕事や肩書きに就くのか、具体的にはまだわかりませんが、それで構わないと思っています。目指す方向ははっきりしています。世界平和をつくることです。

それが平和教育になるのか、グローバル・リーダーシップなのか、意識の研究なのか、若者のムーブメントづくりなのかはわかりません。それでも、自分が本当だと感じるものを選び続ければ、進むべき道は自然とひらけていくと信じています。ギャップ・イヤーを通して、目的がはっきりしていれば次の一歩はおのずと見えてくるのだと実感しました。

長い目で見て、どのような形であれ、自分の仕事を通じて、人々が内面から変わり、他者とつながり、より平和な世界を共につくる手助けをしたいと考えています。


高校時代、Mikiさんはワークショップやイベント、講演を通じて、1万人を超える人々が平和について考える場をつくりました。このムーブメントを築き続けるMikiさんの胸には、UWC ISAKの寮で始まったひとつの学びがあります。平和を願う共通の思いには、違いを越えて私たちを結びつける力がある、ということです。

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