UWC ISAK Japanでは、リーダーシップとは行動することです。課題を見極め、困難な状況においても一歩を踏み出し、多様な価値観を受け入れて活かすことです。I See Lifeの創設者であるアニーさんにとって、リーダ […]
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UWC ISAK Japanでは、リーダーシップとは行動することです。課題を見極め、困難な状況においても一歩を踏み出し、多様な価値観を受け入れて活かすことです。I See Lifeの創設者であるアニーさんにとって、リーダーシップはある個人的な気づきから始まりました。本当の包摂とは、多様性があるだけでは実現しません。壁のあるところに、自ら選んで橋を架けることなのです。
I See Lifeが生まれたきっかけ
I See Lifeの始まりは、アニーさんの祖父でした。祖父は少しずつ耳が聞こえなくなり、会話は次第に沈黙に変わっていきました。「言葉や音ではもう届かない形で、祖父とつながりたいと強く願っていました」と彼女は語ります。その思いから、ろう者や難聴者のコミュニティが直面する課題に、より深く目を向けるようになりました。聞こえる人を前提につくられた社会の中で、その苦労は見過ごされがちです。
この気づきは、UWC ISAKでの経験を振り返ったとき、さらに切実なものになりました。「私たちは常に、互いにつながり、学び合うよう励まされています。それなのに、障がいがあるというだけで、ある人たちがまるごと孤立したままになってしまうことがあるのです」と彼女は話します。行動を起こすと決めた彼女は、高校1年次(Grade 10)のリーダーシップ・プロジェクトとしてI See Lifeを立ち上げ、理解と包摂を広げる場にしました。チームとともに地域のろう学校に連絡を取り、そこで学ぶ人たちの経験をより深く知ろうとしました。中でも長野のろう学校への訪問が、大きな転機となりました。そこで英語の先生と話す中で、アニーさんはつらい現実に直面します。ろう者のコミュニティは、多くの場合、どちらにも属さない立場に置かれているのです。障がい者として十分に認められているわけでも、健常者として十分に受け入れられているわけでもありません。「世界が一部の人にとってどれほど不公平になりうるのかを思い知りました。自分の存在を説明し続けなければならず、私たちの多くが気づきもしない壁を越え続けなければならないのです」とアニーさんは振り返ります。この気づきが、I See Lifeの原動力になりました。
気づきから行動へ
I See Lifeの根本にあるのは、つながりです。教育、文化交流、テクノロジーを通じて、聴者とろう者のコミュニティの間にある隔たりに橋を架けます。プロジェクトは、次のような主な取り組みを通じて形になってきました。
世界とのつながり:UWC Changshu China(Sign by Side)やUWC Adriaticの手話学習コミュニティと連携し、活動の影響を広げています。
これらの取り組みには、包摂を広げたいというアニーさんの強い信念が表れています。「多様性はもともとそこにあるものです。でも、包摂は自ら選ぶものです」と彼女は強調します。I See Lifeを通じて、彼女はその選択が毎日なされる世界に向けて、具体的な一歩を踏み出しています。
新たな一歩を生んだ瞬間
I See Lifeの影響は、このプロジェクトが生み出したつながりの瞬間に表れています。そのひとつが、Nagano Deaf Schoolを訪れたときの出来事です。「昼食のあと、上級生の一人にそっと呼ばれました」とアニーさんは振り返ります。その生徒は、アニーさんが手話に慣れていないことを知っていたので、ホワイトボードを使って、聴者のコミュニティと関わる機会を得られたことへの感謝を伝えてくれました。この経験で視野が広がったといいます。聞こえる人の世界についてだけでなく、それまで考えたこともなかった、海外の人とつながる可能性についてもです。
アニーさんにとって、リーダーシップとは理想を描くことだけではありません。行動、共感、誠実さが欠かせません。「I See Lifeでは、耳を傾けることでリードしてきました。ろう者や難聴者のコミュニティのニーズだけでなく、まだ十分に理解していないかもしれない人たちの疑問や不安にも耳を傾けてきました」と彼女は話します。自ら手話を学ぶことから、ろう者のコミュニティとの関係づくりまで、彼女はこの活動に深く打ち込み、一つひとつの取り組みにプロジェクトの価値観が反映されるようにしてきました。
アニーさんの願いは、I See Lifeがほかの人の中で何かが動き出すきっかけになることです。「会話が聞こえること、苦労せずに言葉を交わせること、壁を感じずに世界とかかわれること。自分が『当たり前』だと思っていることが、ほかの誰かにとっては一生続く苦労かもしれません。そのことに気づいてほしいのです」と彼女は話します。