校長Malcolm McKenzieからのメッセージ
UWC(United World Colleges)であるとは、どういうことでしょうか。この問いに、答えは一つしかないのでしょうか。世界には18校のUWCがあり、同じ名称とブランドを共有しながらも、それぞれまったく異なる国や環境の中にあります。その多くは国際バカロレア ディプロマ・プログラム(DP)を提供する2年制の学校ですが、より幅広い学年を受け入れている学校もいくつかあります。3年制の本校には、高校1年次(Grade 10)のクラスがあります。

「UWCであるとはどういうことか」という問いへの一つの答えは、すべてのUWCが同じミッションを共有している、ということです。UWCは、教育を通じて、人々や国や文化を結び、平和と持続可能な未来に貢献します。しかし、この言葉が何を意味するのかについては、学校同士の間でも、同じ学校の中でも、解釈に違いがあることは間違いありません。この簡潔な一文を実際の取り組みに落とし込む段階でも同じです。
日本、アジア、世界における使命のバランス
では、日本と、本校が位置するアジアのこの地域にとって特色ある全寮制高校、International School of Asia Karuizawaであろうとする、本校の志についてはどうでしょうか。One Life. Realize Your Potential. Be a Catalyst for Positive Change. ISAKとUWCという二つの枠組みの中で、革新的で起業家精神にあふれた変革を起こす人を育てること。それが本校を特徴づける建学の精神です。それをどう実現するかには、常に注意を払い続ける必要があります。
UWCムーブメントが現在のミッションを採択したとき、私はUWC Atlantic Collegeの校長を務めていました。当時のUWCの数は、現在の半分でした。これほど短い一文でありながら、最終的に合意に至るまでに長い議論が続いたことは印象的でした。その議論のことはよく覚えています。そして当時の私が、この一文が何を意味するのか、自分が属していたウェールズのUWCでそれをどう実現するのが最善なのかを、正確にわかっているつもりだったことも覚えています。
今の私は、その意味についても、それをどう行動に移すかについても、確信を持てずにいます。世界は変わりました。世界はいつもそうやって変わっていくものであり、私たちはその変化についていかなければなりません!UWCもまた変わり、これからも変わり続けます。変わってきた、そして今も変わり続けるこの状況に合わせて、私たちはミッションを定期的につくり直す必要があります。そして、ここ本校というUWCで、そのための創造的な方法を見つけなければなりません。Atlantic Collegeとは違い、本校にはウェールズの歴史ある城はありません。けれども、Atlantic Collegeには本物の日本の火山がありません。Atlantic Collegeの地元の町Llantwit Majorは、軽井沢とはまったく異なります。
こうした違いに触れるのは、すでに述べたように、地域や国の状況がそれぞれのUWCを形づくり、学校ごとの違いを生んでいるからです。私は、この多様性を歓迎すべきものだと考えています。結局のところ、私たちが大切にしているのは、多様性の中で、多様性を通じて、多様性があるからこそ生まれる一体感を祝うことなのです。そして、平和と持続可能な未来を目指す道は一つではありません。
UWC ISAK Japanの強み
本校の強みの一つは、高校1年次の1年間と、その中心となる授業です。この授業では、リーダーシップのトレーニング、起業家としてのスキル、デザイン思考を組み合わせています。これらのスキルはどこでも活かせるもので、特に日本やアジアに向けたものではありません。それでもこの授業は、全寮制のInternational School of Asia Karuizawa(ISAK)であろうとした、本校創設時の思いから生まれました。UWCらしさは、ある意味で、そこに接ぎ木されたものです。そして、うまくいった接ぎ木がどれもそうであるように、そこから育つ木は丈夫で、豊かな実りをもたらします。この高校1年次の授業を、カリキュラムや本校の取り組みのほかの領域にも広げていく方法を、もっと見つけるべきだと私は感じています。

では、日本のUWC、日本にあるUWCであることは、今の私たちにとってどういう意味を持つのでしょうか。私には包括的な答えはありません。この問いを、私たち皆で考えたいと思います。皆で一緒にこの問いをじっくり考え、それぞれの最良の答えを持ち寄ることができたら、わくわくしませんか。平和を築くことに真剣に向き合うために、私は何をしているのか。あなたは何をしているのか。持続可能な未来を生み出すために、私はどう力を尽くしているのか。あなたはどうでしょうか。
議論の場をひらきたいので、私はあえて完全な答えを示しません。その代わりに、最後に一つだけ考えを紹介します。皆さんの考えもぜひお寄せください。本校の日本らしい特色の一つが、毎日の「定時全校清掃(Stop and Clean)」です。確かなことはわかりませんが、ほかにこれを行っているUWCがあったら驚きます。私は、手を止めて掃除をするこの時間が好きです。皆で一緒に役に立つことをし、一日の授業の流れから少し離れ、互いに協力し合います。自分の身の回りの空間や場所を整えることと、より大きな規模で別の種類の秩序をつくり出すことの間には、つながりがあるのかもしれません。
そこで、平日の毎日、定時全校清掃と同じ長さの短い時間をもう一つ設けてはどうでしょうか。その時間には手を止めて気持ちを切り替え、「平和と持続可能な未来」をつくるために、学校の内外で私たちが取り組んでいること、これから取り組めることに目を向け、話し合い、計画を立てるのです。それは、日本の伝統に根ざした、本校のUWCらしい取り組みになるはずです。この毎日の短い時間を「Cease, for Peace」(平和のために、立ち止まる)と呼んでもよいかもしれません。私たち皆が毎日、一人で、あるいは少人数のグループで立ち止まり、このことを考え、行動すれば、きっと非常に大きな力が生まれます。
