文:Lucy(2020年卒業、カナダ)
私がCAF TALKsを始めたのは冬のことです。ちょうど第1学期の高揚感が薄れ始め、宿題がたまり、少し冬の憂うつも感じ始める時期でした。生徒会の共同代表として、またイベントを企画する多くのクラブや委員会の一員として活動するなかで、「自分とは違う人ともっと関わる機会がほしい」「もっと意味のある会話がしたい」という生徒の声をよく耳にしていました。
キャンパスでは、気づかないうちに決まった日常にはまりがちです。食堂でも自由時間でも、いつも同じ友人グループと過ごしてしまいます。CAF TALKSは、これまで二言以上交わしたことがないような生徒同士が、自分の考えや人生の経験を率直に語り合える場です。トピックは、参加者が共通の人間性をもとにつながれるように考えました。
立ち上げに向けて
私は何カ月もかけて、「Global Citizens Initiative」プログラムのメンターと一緒に準備を進めました。UWC ISAK Japanでは、Cary(Reid先生)やPaddock先生にアイデアを相談し、広告業界での経験があるOsorio先生からはマーケティング戦略について専門的なアドバイスをもらいました。Jaya先生とは、昼食をとりながら一対一でブレインストーミングをしました。Lacoste先生は、場の雰囲気づくりのためのお菓子や飲み物の予算を出し、プロジェクトの資金面を支えてくれました。このプロジェクトのために空いた時間を割き、導いてくださったすべての先生方とスタッフの皆さんに、心から感謝しています。
多くの生徒も、どんなセッションにすればうまくいくか、考えやアイデアを出してくれました。そこからトーキング・スティックのアイデアも生まれました。グラフィック・レコーディング(会話の内容を視覚的に表現すること)は、この夏に取り組んだ「グローバル政治」の授業のEngagement Activityがきっかけです。対立の激しい政治の会議では、緊張を和らげ、全員の意識を議題に戻すために、イラストレーターが入ることが多いと知りました。すごく面白いアイデアだと思いました。Elena、Hamid、Ricardo、Gianluca、KanoがCAF TALKsのグラフィック・レコーダーをボランティアで務めてくれました。それぞれ少しずつ違うスタイルと解釈で描いています。
想像以上の手応え
CAF TALKSがついにスタートしたのは3月12日。ちょうど新型コロナウイルスがUWC ISAK Japanにも直接影響を及ぼし始めた頃でした。本校が前倒しの日程に移り、コミュニティの仲間が次々とキャンパスを離れて家族のもとへ帰っていくなかで、CAF TALKSはしっかりと根を下ろしました。
CAF TALKSは毎週欠かさず夕食後の生徒ラウンジで開かれ、誰でも参加して話を聞いたり、体験を語り合ったりできました。笑いが止まらなくなる瞬間もあれば、誰かが心の奥にある思いを語り、部屋が静まり返る瞬間もありました。私が驚いたのは、毎回セッションが終わった後も、みんながその場に残って話し続けていたことです。それまで一緒に話している姿を一度も見たことがなかった人たち同士でした。
新しいリーダーへの引き継ぎ
そして4月になり、私がUWC ISAKを離れるときが来ました。1カ月間CAF TALKSを主催した後、その役目をバディのArturに引き継ぎました。Arturが私のバディだというのは、文字どおりの意味です。夏の間に、welcome committeeが私とArturをバディに組んでくれたのです。それから1年を通して、私たちはずっと連絡を取り合ってきました。
彼がキャンパスに到着した夜のことは、今でもはっきり覚えています。土砂降りの雨で、私は自分の傘を彼にあげました(カナダ人なので、傘はなくても平気です)。彼はとても喜んで、エストニアのチョコレートをくれました。それからはすっかり仲良しになりました。私が去った後も彼がCAF TALKsを続けてくれていることを、誇りに思います。Arturはこれまで出会ったなかでも特にやる気にあふれた生徒の一人で、何事にも大きなエネルギーと情熱を注いでいます。
私がUWC ISAKを離れるまでに、36人を超える生徒とスタッフがCAF TALKSに参加してくれました。その後どれだけの人が加わったかはわかりません。それでも、今も続いていて、生徒たちが楽しんでいるのを見ると、本当にうれしく思います。
家族のような温かさ
今の状況を受けて、私たちのコミュニティは世界中に散らばっています。でも、こうした困難や苦労のなかでこそ、私たちの本当の姿が表れます。台風19号(ハギビス)に見舞われたとき、私たちのコミュニティは一つになりました。世界各地にいるUWC ISAKの生徒たちがメッセージや動画、応援の品を送ってくれているのを見ると、今回も同じだとわかり、うれしくなります。キャンパスに残っている生徒たちは、より親しくなりました。厳しい状況に一緒に向き合うことで、絆が深まったのです。
みんなの気持ちを明るく保つために、朝礼やガーデニング・イベント、ハイキング、お花見を開いてきました。夕食のすぐ後に開かれるCAF Talksには、家族の団らんのような雰囲気があります。部屋に満ちる温かく優しい空気は、自分たちの力ではどうにもならない試練に、このコミュニティがどう向き合っているかをよく表しています。毎週金曜日、私たちのコミュニティは経験や物語、涙や笑いを分かち合う場を設けています。けれども、CAF Talksがもたらすポジティブな効果は、ほとんど測りようがありません。海の波のように、そのぬくもりは小さなカフェから日々の暮らしへと広がっていきます。
