UWC ISAKでは、若いリーダーたちが未知の領域に挑み、ポジティブな影響をもたらせるよう後押ししています。Kenさん(2024年卒業/パナマ出身)は、この使命を体現する一人です。本校初のパナマ出身の生徒として、UWC ISAKで過ごした日々の中で、変革を起こす人としてのリーダーシップを身につけました。卒業から1年足らずの今、その学びを世界を舞台に活かしています。軽井沢から「世界青年の船」へ。パナマ代表団の最年少のナショナル・リーダーを務めたKenさんの歩みは、主体性と適応力、そして国際協力の力を示しています。

思いがけないチャンスをつかむ
Kenさんが「世界青年の船」に参加するまでの道のりは、決して型どおりではありませんでした。卒業後に取ったギャップ・セメスターは、やがてさまざまなことに挑戦する1年へと広がりました。英語の家庭教師のアルバイトをしていたとき、パナマ社会開発省に勤める生徒の母親と出会います。その母親からこのプログラムを紹介され、気づけばKenさんは、異文化交流とリーダーシップの育成を目的とした船の上で、パナマ代表団を率いていました。
「世界中の人と出会い、交流できるチャンスを逃したくありませんでした」とKenさんは振り返ります。「自分の国を代表することや、国際関係についてもっと学べることにも、わくわくしていました」

「世界青年の船」での航海
内閣府が始めた「世界青年の船」は、国際交流を通じてリーダーシップと社会起業家精神を育むことを目的としたプログラムです。航海を通じて、Kenさんは政府関係者や起業家、同世代の若いリーダーたちとともに、持続可能性、文化の継承、若者の力を引き出す取り組みについて議論を交わしました。
参加者の多くが30代や40代という中で、Kenさんは最年少のナショナル・リーダーでした。大きな責任を担う役割で、自分の力を示すことが求められました。「15歳も年上の人たちと同じ責任を負うのは大変でしたが、みんなとても支えてくれました」と振り返ります。役割には、パナマ文化を紹介するプレゼンテーションの企画、各国代表団のリーダーとの連絡調整、プログラムの円滑な運営が含まれていました。

世界が出会う場所で:要人との対面とリーダーシップの学び
Kenさんにとって特に印象深かったのは、皇居で石破茂首相や佳子内親王殿下をはじめとする日本の要人と対面したことです。わずか1年前にはUWC ISAKのキャンパスで友人たちと語り合っていた身にとって、現実とは思えないような出来事でした。
しかし、最も強く心に残ったのは、同じパナマ代表団の仲間から学んだリーダーシップの教訓でした。「チームの仲間の一人が、リーダーとして常に奉仕の姿勢を持つべきだと気づかせてくれました。間違いを指摘するのではなく、支える側に回って、調和のとれたチームをつくるべきだ、と」。この気づきはKenさんのリーダーシップに対する考え方を変え、共感と協働の大切さを改めて実感させました。これは、UWC ISAKで培われる中心的なリーダーシップの実践の一つです。


パナマとのつながりを取り戻し、未来へ
国際的なプログラムに参加する中で、Kenさんは自分の国とのつながりも新たにしました。「UWC ISAKから帰国した後は、自分の居場所がないように感じて苦しみました。でもこの経験を通じて、パナマに住んでいたころよりも多くのことをパナマについて学びました」。今では、自国の未来に役割を果たし、目に見える成果を生むプログラムづくりに携わることを思い描いています。
現在Kenさんは、仲間の代表団メンバーとともに、パナマで「世界青年の船」参加経験者の会を立ち上げようとしています。パナマ社会開発省と協力し、教育と青少年の更生に焦点を当てた取り組みも進めています。不確かな状況においても行動を起こすKenさんの姿は、UWC ISAKが生徒たちに育むリーダーシップのスキルそのものです。
未来のUWC ISAK生へのアドバイス
同じような機会に挑戦したいと考えているUWC ISAKの在校生に向けて、Kenさんのアドバイスは二つあります。「公式なルートでは、大使館や政府機関がとても頼りになります。積極的に力を貸してくれることが多いんです。それ以外では、とにかく自分が楽しいと思うことをやってみてください。興味のあることに全力で取り組めば、周りの人は気づいてくれます。そして、思いもよらなかった扉が開きます」
Kenさんの歩みは、UWC ISAKが育もうとしている、生涯にわたって学び、リーダーシップを発揮し続ける姿勢を体現しています。新たな可能性を求めて挑戦を続けるKenさんについて、ひとつ確かなことがあります。これは、Kenさん自身と、Kenさんが力を尽くすコミュニティの未来を形づくっていく特別な道のりの、まだ始まりにすぎないということです。

