UWC ISAK Japanの秋の「プロジェクト・ウィーク」は、生徒たちにとって、わくわく感と挑戦、成長に満ちた1週間です。高校1年次(Grade 10)の生徒と、2年間の課程で学ぶ高校2年次(Grade 11)の生徒にとっては初めての、高校3年次(Grade 12)の生徒にとっては最後のプロジェクト・ウィークとなるため、新たな探究の始まりとこれまでの集大成が重なる、特別な時間でもあります。国際バカロレア ディプロマ・プログラム(DP)の一環として、この週は創造性・活動・奉仕(CAS)のプロジェクトを中心に行われます。CASのプロジェクトでは、生徒が自ら手を動かして意味のある学びに取り組み、自分自身と周りの世界の両方にポジティブな影響をもたらすことが求められます。
高校1年次の生徒にとって、この週はプロジェクトの計画と実行の基本を学ぶ入門の機会です。今回は、第一線で活躍する起業家や投資家がキャンパスを訪れ、起業家精神とイノベーションについて講義を行い、生徒たちは直接話を聞く貴重な機会を得ました。起業コースに関心のある生徒には一対一の個別相談の時間も設けられ、生徒たちは専門家の助言を受けながら、自分のアイデアや目標を磨き上げました。
一方、高校2年次と3年次の生徒たちは、それぞれにミッションと目標を掲げたさまざまなプロジェクトに取り組みました。その幅広さには、生徒たちの多様性と創造性が表れています。ここからは、今年の秋のプロジェクト・ウィークで特に印象に残ったプロジェクトをいくつか紹介します。

Eco-Essence Soap
ミッション:
Eco-Essence Soapは、使用済みの食用油を再利用して、環境にやさしく持続可能な石けんをつくるプロジェクトです。廃棄物を減らし、市販の洗浄剤に代わる手づくりの自然な製品をUWC ISAKのコミュニティに届けることで、持続可能性を広めることを目指しています。
秋のプロジェクト・ウィークの目標:
今回の目標は、専門家から環境にやさしい石けんのつくり方を学び、UWC ISAKオリジナルの石けん用スタンプをデザインし、キャンパスで石けんづくりのワークショップを企画して、コミュニティ全体で持続可能な取り組みを広げることでした。
測定可能な成果:
- 東京で、プロの石けん職人によるワークショップを修了
- 手づくりの石けんに押す、UWC ISAKオリジナルのスタンプを制作
- キャンパスで持続可能性を広めるため、石けんづくりの会を企画
プロジェクト・ウィークの計画:
Eco-Essence Soapチームは、東京への遠征から1週間をスタートし、プロの石けん職人による講習に参加しました。2日間にわたって再利用素材を使った石けんづくりの技術を学び、週の半ばにはUWC ISAKに戻って、学んだことを活かしました。生徒と教員向けにワークショップをひらき、使用済みの食用油で環境にやさしい石けんをつくる方法を伝えたほか、完成した石けんを新入生への歓迎の品や卒業生への餞別として贈るアイデアについても話し合いました。


Project Red
ミッション:
Project Redは、献血イベントや応急手当の講習会などを企画し、医療や健康に関する課題への関心を高めることを目指しています。教育だけにとどまらず、UWC ISAKのコミュニティと軽井沢の地域の方々の両方を巻き込み、命を救う取り組みに積極的に参加してもらうことを大切にしています。
秋のプロジェクト・ウィークの目標:
この週の主な目標は、11月に開催する献血イベントの準備でした。このイベントはUWC ISAKの生徒だけでなく軽井沢の地域の方々にも開かれ、学校と地域をつなぐ架け橋となります。
測定可能な成果:
- 日本赤十字社と連絡を取り、イベントへの参加を確定
- 会場が献血の実施に適していることを確認
- 参加を希望する生徒を募り、必要な献血条件の確認と保護者の同意を取得
プロジェクト・ウィークの計画:
1週間を通じて、Project Redチームは運営面の準備に取り組みました。日本赤十字社と調整を進め、担当者をキャンパスに招いて施設を確認してもらい、参加を希望する生徒のリストをまとめました。また、Feminism ClubやRainbow Allianceなどほかのクラブとも話し合い、イベントに合わせて募金や啓発のブースを出す計画を立てました。
Nagano Harvest Project
ミッション:
Nagano Harvest Projectは、農作業を通じて、食べ物がつくられる過程への理解を深め、コミュニティの一員としての意識を育むプロジェクトです。参加者は地域の方々から学びながら、Ozuchiの冬支度を手伝います。
秋のプロジェクト・ウィークの目標:
主な目標は、Ozuchiで農業ボランティアに参加し、日本の伝統的な農法を学びながら冬支度を手伝うことでした。また、チームワークと文化交流を通じて、メンバー同士の絆を深めることも目指しました。
測定可能な成果:
- 地域の冬支度に向けた農作業に参加
- UWC ISAKの生徒と地域の方々とのつながりを強化
- 体験と、持続可能な農業について新たに身につけたスキルの振り返り
プロジェクト・ウィークの計画:
1週間を通じて、チームはワーク・キャンプ団体NICEの指導のもと、石川のOzuchiで地域の方々と一緒に作業しました。薪割りや、寒い季節に備えた土地の準備などに取り組みました。体を動かす作業だけでなく、伝統的な農法を学び、地域とのつながりを育むことにも力を入れました。この体験を通じて、持続可能な暮らしと、地域で力を合わせることの大切さについて多くを学びました。


Nanoverse
ミッション:
Nanoverseは、最新のがん治療を研究し、腫瘍学におけるナノロボット工学の可能性を探る画期的なプロジェクトです。チームは、がん細胞を標的にしてデータを収集するナノロボットの試作モデルを開発しながら、ナノテクノロジーががん治療を根本から変える可能性について調べています。
秋のプロジェクト・ウィークの目標:
目標は、現在のがん治療について深く調べ、海外の専門家へのインタビューを手配し、ナノロボットの構想設計に着手することでした。
測定可能な成果:
- 医療と工学の専門家へのインタビューを完了し、専門的な知見を獲得
- がん細胞を標的にする機能とデータを収集する機能の二つを詳しく示した、ナノロボットの初期設計図とデザイン
- 継続的な助言を受けられるよう、外部の機関と協力関係やつながりを構築
プロジェクト・ウィークの計画:
チームの1週間は、腫瘍学についての調査、ナノテクノロジーに関する文献の分析、ロボットの設計についてのブレインストーミングで埋まりました。週の半ばには海外の専門家との通話を手配し、ナノロボットの初期スケッチにも取りかかりました。ロボットが収集したデータを分析するためのデータベースの改良にも力を入れました。最後は、調査結果と今後のステップを発表して1週間を締めくくりました。
ISAK Koya
ミッション:
ISAK Koyaは、キャンパス内に日本の伝統的な茅葺き屋根の建物を建てるプロジェクトです。日本文化への理解と、持続可能な建築の手法を結びつけています。生徒が日本の職人技に触れるとともに、静かに思いを巡らせたり文化的な活動を行ったりできる落ち着いた空間をつくることを目指しています。
秋のプロジェクト・ウィークの目標:
この週の目標は、地域に残る日本の伝統建築を訪ね、日本の伝統的な道具の使い方を学び始めることでした。また、小屋の初期デザインと計画をつくることも目指しました。
測定可能な成果:
- 地域の茅葺きの民家と木組み博物館を訪れ、日本の伝統的な建築技術を学習
- のこぎりやノミなどの伝統的な道具を実際に使う体験
- 伝統的な継手・仕口の技法を取り入れた、小屋の詳細なデザインと配置図の作成
プロジェクト・ウィークの計画
ISAK Koyaチームは、長野県の茅葺き屋根の民家と東京の木組み博物館を訪れることから1週間を始め、日本の伝統建築への理解を深めました。週の半ばには伝統的な大工道具を使った実習を始め、木材を正確に切る方法や、木と木を組み合わせる技法を学びました。週の終わりには、Koyaの詳細な設計図と配置案をまとめ、キャンパスにこの特別な空間をつくるための第一歩を踏み出しました。



EduForHope
ミッション
EduForHopeは、教育の機会を届けることで、教育環境に恵まれない地域の生徒を支援することを目指しています。主な活動は、タイとミャンマーの学校とのオンライン授業、UWC校への出願を目指す生徒へのアドバイス、そしてこれらの地域の教育を支えるための本の寄付集めです。
秋のプロジェクト・ウィークの目標
この週の目標は、タイとミャンマーの学校向けのオンライン授業を無事に開始し、年間を通じて続けられる持続可能な仕組みをつくることでした。また、今後の活動に向けて、本の寄付集めを企画することも目指しました。
測定可能な成果:
- タイとミャンマーの学校と、初めてのオンライン授業を成功させました。
- 教育環境に恵まれない地域の教育を支える本の寄付集めについて、具体的な計画を立てました。
- UWC校への出願を目指す生徒にアドバイスを行い、出願のサポートもしました。
プロジェクト・ウィークの計画
EduForHopeチームは、まずタイとミャンマーの学校の責任者と調整を重ね、オンライン授業の準備を進めました。10月5日に最初の授業を行い、その後1週間を通して、授業の内容と効果を高める方法を振り返りました。また、今年度の後半に予定している本の寄付集めに向けて必要なものを集め、UWCのプログラムへの出願に関心のある生徒のサポートも行いました。
Asama Underground Cine Fest
ミッション
Asama Underground Cine Festは、世界各地の若い映画制作者たちを讃える映画祭です。新進のアーティストを支援し、日本の映画業界に新しい風を吹き込むことをミッションとしています。映画祭は、制作者が作品を発表し、業界の専門家とつながる場となっています。
秋のプロジェクト・ウィークの目標
目標は、応募作品を集めて審査し、10月11日に映画祭を企画・開催して、若い映画制作者たちが輝ける場をつくることでした。
測定可能な成果:
- 世界各地の若い映画制作者から作品を集め、審査を終えました。
- 10月11日にAsama Underground Cine Festを開催しました。
- 好評の声が寄せられ、映画制作者と業界の専門家とのつながりが生まれました。
プロジェクト・ウィークの計画
チームは1週間をかけて上映作品を確定させ、映画祭の運営準備を進めました。地元と海外の映画制作者に声をかけ、当日のスケジュールを調整し、会場を設営しました。そして10月11日(金)に映画祭を開催し、芸術への情熱を胸に重ねてきた努力が実を結びました。


今後に向けて
2024年秋のプロジェクト・ウィークは、体験を通じた学びと探究の時間であると同時に、生徒たちの創造性や志、そして変化を生み出そうとする強い思いを讃える機会にもなりました。高校3年生が最終学年を締めくくる準備を進め、高校2年生が新たな挑戦に踏み出すなか、この1週間で得た学びとつながりは、UWC ISAKでの日々でも、その先の人生でも、生徒たちの歩みを形づくっていきます。
生徒たちはこれからもCASプロジェクトを続け、目標に向かって取り組んでいきます。今後の報告もどうぞお楽しみに。本校は生徒たちの成果を心から誇りに思い、次に何を成し遂げるのかを楽しみにしています!
