次代に求められる、「違い」を認め、活かす力
世界中で、様々な問題、技術革新、あらゆることが国境を越えて起こりつつあります。また、特に日本においては、2060年までに労働人口が42%も減少するという予測が出ており*、国内・海外どこにいても、どんな職業に就いたとしても、自分とは価値観も常識も異なる人々と協業する時代がやってきます。(*参考:内閣府 「選択する未来委員会」資料)
相手との違い(=多様性)を認め、尊重し合い、互いのユニークな強みを活かして共に何かを成し遂げる力を社会に出る前に身につけることは、個々がこれからの社会を生き抜く力に繋がると同時に、より良い世界を創るために不可欠であると、私たちISAKは信じています。
「多様性(ダイバーシティ)」という言葉が表すものは、国籍や肌の色の違いだけではありません。育った環境、社会的立場、価値観、常識など、自分とは違うものさしを持った人々が共存している状態、それが真の多様性です。
ISAKでは2015年秋現在、世界29カ国から集まった98名の高校生たちが、全寮生活を送っています。そして、その約半数以上の生徒には、返済不要の全額または部分奨学金を給付しています(日本人含む)。ここでは、世界中の様々な社会経済的バックグラウンドを持つ若者が、寝食、学びを共にしているのです。
友達を通して、世界を知る
この生徒の言葉にもあるように、世界の様々な国や地域出身の生徒たちが共に学ぶISAKでは、ニュースや教科書でしか知らなかった世界のことが、友達を通してとてもリアルに感じられます。たとえば歴史の授業で、ある時代、ある国で起きた出来事について学んだとき、教員が「当時、あなたの国では何が起きていた?この出来事について、みなさんの母国ではどのように学びましたか?」といった質問を教員が投げかけます。そして、生徒同士のディスカッションが始まります。
ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンの生徒たちは、こうした友達との議論を通じて、世界で起きていることに当事者意識を持つようになり、一つの事象に対しても様々な捉え方があることを学んでいます。
「多様性」を活かす実践の場に溢れた学校生活
ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンの生徒たちは、寮運営、クラブ活動、奉仕活動など、様々な場面において、自分たちで課題を見つけ、仲間と共に改善策・解決策を導いていくことを求められます。その過程では、様々な価値観、考え方がぶつかり合い、難航することも度々あります。しかし、何度も話し合いを重ねる中で、仲間の目を通して物事を多面的に見ると新たな発見が生まれたり、互いのアイデアを積み重ねることで、素晴らしい成果に繋がるといったことに気づいていきます。
自分自身のアイデンティティが確立されつつある一方、柔軟性と吸収力のある十代のうちに、様々なバックグラウンドの仲間と共にあらゆる場面で試行錯誤を重ねることで、どんなグローバルな環境でも通用する力を身につけられるでしょう。

「ISAKにきて、人と違うことに違和感や恐れを感じなくなりました。ここでは、みんなお互いの違いをリスペクトしています。授業でも、寮生活でも、自分の考えや経験を話すことを求められることが多々あるのですが、色んな家庭環境で育った人たちがいるので、お互いの話を聞くことで新しい視点を得られます。」( 1期生・日本出身)

「ISAKは、世界と、自分自身を、いろんな違った視点から見られるようなる場所だと思います。ISAKでの経験は、母国の良いところも、悪いところも考える機会をくれるんです。」(1期生・日本出身)

「たとえば地理の授業である地域のことを学ぶとき、その場所出身の子がいたりして、直接当事者の意見を聞けるんです。母国で生活していたときは、正直、自分の文化が世界一だと思っていました。でも今、世界中からきた仲間と一緒に学び生活するなかで、国や文化に優劣はないんだと知りました。」(1期生・ソマリア出身)