本報告書は、世界各地に広がる本校コミュニティの皆さまに近況をお伝えし、励みとしていただくためのものです。2024-25年度の主な出来事と、本校が掲げるミッションの実現に向けた取り組みについてご報告いたします。

10周年記念行事は、ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンが生徒とその仲間たちによってつくられてきた学校であり、これからもそうあり続けるという確信を深める時間となりました。一人ひとりの生徒が、自ら考え、行動し、変化を生み出すことで、この学校を形づくってきました。この精神こそが本校の原動力であり、未来への希望です。
モットーからビジョンへの移行により、本校の根幹にある価値観もより明確になりました。その根底にあるのは「One Life」の精神です。他者や自然とのつながりを大切にしながら、自分の人生を精一杯生きるという考え方であり、そこには「自分の人生は自分で形づくるもの」という力強いメッセージが込められています。
このビジョンを胸に、UWC ISAKの生徒たちは分断や気候変動といった地球規模の課題に正面から向き合い、国や文化の違いを越えてつながり、よりよい未来を築く担い手となってくれると確信しております。

世界情勢はますます複雑さを増し、分断は深まり続けています。「多様な視点を理解すべきだ」と言うのは簡単ですが、それを実践することの難しさを、私たちは日々実感しております。
開校11年目を迎えた本年度も、ご支援者の皆さまからの継続的なご支援により、全体の70%の生徒に奨学金を給付することができました。これにより、深さと多様性をともに備えた学びの環境を維持しております。これを可能にしてくださったご支援者の皆さまに、深く感謝申し上げます。
このような時代にあって、信念をもって行動できる若者を育てることは、これまで以上に急務であると感じております。本年度は、社会への第一歩を踏み出すUWC ISAK Japanの卒業生に投資する新たな取り組みとして、Alumni Action Fund(AAF)が始動しました。最初の投資先は、人工知能(AI)を活用して日本の製造業のデジタル・トランスフォーメーションに取り組む、卒業生が創業したスタートアップです。
本年度、特に心に残った瞬間の一つは、5月の卒業式でした。ある生徒が卒業スピーチで、次のような言葉を語ってくれたのです。
「世界各地で続く戦争。不安げなクラスメートのまなざし。増え続ける、前例のない自然災害。未来は本当に楽しみにできるものなのでしょうか。そもそも安全なのでしょうか。私は自信を失いかけていました。
「でも、私はUWC ISAKで学びました。待っている余裕はありません。黙っているわけにはいきません。声を上げなければなりません。対話を通じて、行動しなければなりません。意見が違うときでも。意見が違うときこそ。
相手の視点を理解しようとすることこそ、心から相手を大切に思っていることを示す、最も確かな方法なのです。」
私たちの世代が成し遂げられなかったことも、彼らなら成し遂げられるかもしれません。未来への新たな希望と目的意識を皆さまと分かち合い、ともに次の1年へと踏み出してまいります。
これを可能にしてくださるご支援者の皆さま、日々の課題に真摯に向き合う教職員、そして理事会、評議員、監事の皆さま。本校とともに歩んでくださり、心より感謝申し上げます。

本校にとってこの1年は、学びが教室の外にも大きく広がっていることを強く実感する1年となりました。学びとは、好奇心と明確な意志、そして成長しようとする姿勢をもって人生に向き合うことです。
本年度の最も大きな一歩の一つは、本校のモットーをビジョンへと位置づけ直したことです。「One Life | Realize Your Potential | Be a Catalyst for Positive Change」というビジョンは、日々の行動を促す呼びかけであり、本校コミュニティの原動力となっています。
生徒たちは、ウェルネスに関するワークショップから持続可能性に関する取り組み、医療貧困と医療へのアクセスに関するフィールドワークに至るまで、目を見張るかたちでこの呼びかけに応え続けています。そのリーダーシップは大胆で、意義のあるものでした。
これらは単なる学校のプロジェクトではありません。深い思いやりと主体性、そして変化を生み出したいという願いの表れであり、混迷する今の世界にこそ強く求められているものです。私たちは、そこに希望を見ています。生徒たちは、実践的な解決策にしっかりと足場を置きながら、困難にひるまず他者のために未来を描く人として、本校のミッションを体現しようと努めています。いつも正しい答えにたどり着けるとは限りませんが、失敗から学び、挫折から立ち直ります。
この1年を振り返り、現状に挑み続けるすばらしいコミュニティの皆さまに感謝申し上げます。来年度は、新たな戦略計画のもとで歩みを進めます。1年を通じてお届けするコミュニティの物語に、どうぞご期待ください。
生徒とそのご家族、教職員、卒業生、そして理事会、評議会、ファウンダーの皆さま、ご支援者の皆さまの献身と寛大なご支援に感謝申し上げます。皆さまが本校のビジョンを信じてくださることで、生徒たちは世界が最も必要とするリーダーへと成長することができます。
本年度を締めくくるにあたり、私たちが抱いているのは確実さではなく確信です。混迷する世界にあっても希望はある、という確信です。そしてその希望は、生徒たちの行動と声、そしてビジョンの中に息づいています。


ポジティブな変化を生み出すきっかけをつくる人として、本校では次のことに取り組みます。
8月、本校は創立10周年を迎えました。生徒、卒業生、ご家族、ご支援者の皆さまが集い、これまでの歩みを振り返るとともに、未来を見据えました。つながりと祝福、そして共通の目的意識に満ちた1日となりました。

9月21日、「Together We Change」をテーマに、UWCデーとInternational Culture and Education Festivalを合同で開催しました。150名を超えるゲストがキャンパスを訪れ、ワークショップ、国旗パレード、文化ブース、クラシック・コンサートを楽しみました。本校コミュニティを形づくる多様性を祝う1日となりました。

高校1年次(Grade 10)の生徒は、来校した起業家の助言を受けながら、初めての創造性・活動・奉仕(CAS)プロジェクトに着手しました。高校2年次から3年次まで(Grade 11〜12)の生徒は、これまでの取り組みを発展させたり、最終的な成果を発表したりしました。この1週間は、全学年の生徒にとって、アイデアを試し、振り返り、行動に移す機会となりました。詳しくはブログをご覧ください。

ICE Clubが中心となり、生徒たちが毎年恒例の感謝の夕べを開催しました。日々生徒を支える教職員に感謝を伝える場です。飾らず心のこもった生徒主導の夕べとなり、キャンパスに根づく感謝の精神を映し出しました。

SNOW(生徒会)の新たなリーダーとして、NainaさんとAkilさんを迎えました。前会長のNikoさんは、次の言葉とともにバトンを託しました。「SNOWの会長を務めた日々は、理想を追い求めながら自分自身を見つめ直す道のりでした。」

演劇プログラムが、ソーントン・ワイルダー作『わが町』を上演しました。日々の暮らしと、気づかれないまま過ぎていく瞬間を描いた作品です。献身的な生徒チームの尽力により、深い思索に満ちた感動的な舞台となり、多くの観客が足を運びました。

OpenAIのチームメンバーをお迎えし、AIの未来と教育におけるAIの役割について語り合う特別な機会を得ました。この訪問をきっかけに、キャンパスのあちこちで問いやアイデア、率直な対話が生まれました。訪問の実現にご尽力くださったGen Miyazawa様に、特に感謝申し上げます。

3月には、Entrepreneur Weekendが再び開催されました。生徒たちは54時間にわたる集中的な取り組みの中で、構想段階のアイデアを形にしました。昨秋名古屋で開催されたStartup Weekendの勢いを受け継ぎ、運営はすべて生徒主導で行われました。詳しくはブログをご覧ください。

生徒たちは、あるご支援者の寛大なご寄付によって実現した4回のDiscover Shinshuトリップを通じて、長野の文化と歴史を学びました。江戸時代の数学パズルから中山道のハイキングまで、いずれのトリップも、本校が根ざす地域とつながる新たな機会となりました。

2025年卒業生の門出を、温かさと感謝、そしてコミュニティの絆にあふれた卒業式で祝いました。同じ週に開催したAnnual Summitには、卒業生とご支援者の皆さまがキャンパスに集い、卒業に向けた新たな選択肢やリーダーシップ・プログラムの拡充など、UWC ISAKのこれからについて語り合いました。月の締めくくりには、これまでで最も意欲的なEntrepreneur Weekendを開催し、生徒たちは、アイデアは行動に移してこそ意味があることを示しました。本校生徒Arunabhさんによるハイライト動画はこちら。

本校にとって多様性は、大切にしている価値観というだけではありません。生徒が学び、成長するうえでの中心にあるものです。本校のコミュニティには、社会経済的、文化的、宗教的な背景などが異なる、さまざまな若者が集まっています。こうした多様な視点が混ざり合うことで力強い学びの環境が生まれ、生徒は複雑な世界でリーダーシップを発揮するために必要な力を身につけます。
意図的に多様性を育むこのコミュニティを支えるため、本校では経済状況に応じた学資援助制度を設けております。2024年度(2024年4月1日〜2025年3月31日)には、全生徒の71.8%に奨学金を給付いたしました。その資金の多くは、ふるさと納税(hometown tax)によるものです。ご支援者の皆さまから本校にお寄せいただいている信頼に、心より感謝申し上げます。
10周年を記念した資金調達キャンペーン「Celebrate & Sustain」には、生徒、卒業生、保護者、教職員が一体となって取り組みました。本キャンペーンにより、Phase 6校舎の家具・備品の整備費用を全額まかなうことができ、本校の財政基盤の強化にもつながりました。
また本校では、長期的な財政的持続可能性に向けた重要な一歩として、寄付基金の積み立てを継続しております。本年度は、株式によるご寄付を含め、さまざまな形でのご寄付をいただきました。

※2024年度は、10周年を記念して格別のご寄付を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。 奨学金制度の長期的な安定を確保するため、本校は今後も毎年、資金の一部をUWC ISAKの寄付基金に充ててまいります

※本校の生徒には、ふるさと納税およびその他の財源から、全額奨学金または部分奨学金が給付されています
本校の卒業生は毎年、自らの可能性を発揮し、ポジティブな変化を生み出すきっかけをつくる人であることの意味を示し続けています。それは理論ではなく、世界各地のコミュニティや仕事の現場での行動によって示されています。

日本出身の卒業生であるJunpeiさんは、Alumni Action Fundの支援を受け、急成長中の人工知能(AI)スタートアップを築いています。UWC ISAKと東京大学での経験を活かし、AIを実用的かつ拡張性のある形で活用することに注力する会社を共同で創業しました。同社はすでにアジア各地の投資家やパートナーから注目を集めています。Junpeiさんは、卒業生のメンターから早い段階で支援を受けられたことが成長の大きな鍵になったと語っています。動画はこちら

Viktorさん(スロバキア出身/2018年卒業)は、UCLとフンボルト大学で政治経済学とサイバー法を学んだ後、テクノロジー業界でキャリアを築いてきました。ExponeaとBloomreachでグローバル・チームを率い、現在はSAP EmarsysでVP of Revenue Enablementを務めています。Viktorさんは、UWC ISAKでの経験、特に包摂的なリーダーシップについての学びを、たびたび仕事に活かしています。「UWC ISAKのコミュニティは、思っているよりもずっと長く続きます」と語ります。続きを読む

Ismat Musafirさん(アフガニスタン出身/2019年卒業)は、アフガニスタンで教育を受けられる機会を広げるため、UWC ISAK在学中にEducation for Everyone(E4E)を設立しました。その後E4Eは図書館を建設し、タリバンによる女子教育の制限といった困難にも対応してきました。Ismatさんはビジネスとグローバル・マネジメントの学位取得に取り組みながら、カナダで非営利活動を続けています。「ポジティブな変化を生み出すきっかけをつくる人であること。それが、私がいつも胸に抱いている最も大切な価値観です」と語ります。続きを読む

Alumni Action Fund(AAF)は、UWC ISAKの卒業生が率いるスタートアップを支援する、1億円規模の取り組みです。本校から独立して運営され、本校の資金は投入されていませんが、ファウンダーの皆さま、カタリスト・サポーターの皆さま、卒業生による協働の力強い事例となっています。その根底には、卒業生がポジティブな変化を生み出すきっかけをつくる人になれるという、共通の信念があります。AAFは資金、メンタリング、長期的な支援を提供し、2030年までに卒業生が率いる10〜20の事業を支援する計画です。最初の投資先は、2022年卒業のJunpeiさんが率いるAIスタートアップで、支援はすでに始まっています。記事はこちら
世界中の生徒に人生を変える教育を届けることができたのは、ファウンダーの皆さま、カタリスト・サポーターの皆さま、そしてご支援者の皆さまの温かいご厚意のおかげです。金額の多寡にかかわらず、すべてのご寄付が本校の使命を支えています。本校にご支援をお寄せくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。ご支援者一覧はこちらをご覧ください。
寄付基金ならびに10周年記念の資金調達に多大なるご貢献をいただいたご支援者の皆さまに、心より感謝申し上げます。



※一定の基準を満たすご支援者のみを掲載しております。
UWC ISAKの卒業生は590名を超え、その国籍は127に及びます。一人ひとりが、世界各地でポジティブな変化を生み出すべく力を尽くしています。本校の卒業生は、イェール大学、プリンストン大学、コーネル大学、ブラウン大学などのアイビー・リーグの大学や、シンガポール国立大学、ロンドン芸術大学といった各分野をリードする大学、さらに東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、国際基督教大学(ICU)など日本のトップ大学をはじめとする名門校で学んでいます。UWC ISAKの卒業生が歩む道はさまざまで、ギャップ・イヤーやボランティア活動、起業プロジェクトに取り組む卒業生も多くいます。
理事会、アドバイザー、監事および評議会をご覧ください。
代表理事
Lin Kobayashi
監事
Tony Insung Cha
評議員会議長
Gen Miyazawa
議長
Fumio Tateishi
アルファベット順に掲載
* 名誉ファウンダー
‡ Goldman Sachs Givesを通じたご寄付
** 名誉カタリスト・サポーター